用事があって、今日も含め最近3度ほど警察署に足を運んだ。 (理由は、いつか、簡潔にまとめられることができれば、このブログにも書きたいと思う。ちなみに、現在のネパール情勢には、全く関係のないこと)
私の担当をしてくれる穏やかな婦警さんの席の後ろに、ネパール人のナガリクタ(住民カード)や外国人のパスポートが並べて入れられているガラスケースがある。今日何気なく見ていると、『日本国』と書かれたパスポートも入れられていた。
どこかで拾われ届けられたものなのだろうか? 顔なじみになった婦警さんに聞いてみると、そうだと答えてくれた。そして、彼女はおもむろにケースの鍵を開け、日本のパスポートを取り出し、見てみる?と差し出してきた。
いいのかしら?と聞くと、いいわよ。というので、パスポートを見せてもらうことにした。
1978年生まれ、兵庫県に本籍がある男性のものだった。パスポートがなくなって、きっと困っているだろう。
いつ届けられたのか聞くと、だいぶ前だという。ビザを見れば、いつ入国したか分かるわよ、と婦警さんが言うので、そうか、と思い、ビザのページを探すと、かなり前に発行されていたスタイルのツーリストビザが貼付されているページを見つけた。上から押されているスタンプを見ると、1998年か1999年との文字が見える。インクが薄れて、8か9かは見分けがつかなかったが、いずれにしても随分前に紛失したということは確かだ。ふと思いついて、パスポートの有効期限を見ると、2000年となっていた。
ということは、もう、とうの昔にパスポートを再発行してもらい、帰国して、ネパールでパスポートを失くしたことなどすっかり忘れた日常を送っているに違いない。新しいパスポートを使って、その後何度か海外に出ているかもしれない。6年前に有効期限が切れたパスポートが今更持ち主の元に返されたところで、何の役にも立たない。
でも、失くなったはずのパスポートは、異国の警察署内の小さなガラスケースに並べられ、持ち主が現れるのを数年以上待ち続けている。もう、誰も探しに来ないのに。そう思うと、なんだか気の毒になってきてしまった。この忘れられたパスポートが。
大使館に届けてあげれば、持ち主探しは簡単にできるだろう。でも、有効期限が切れて6年もたったパスポートを、日本まで送り、持ち主に返すことなど、してくれるのだろうか?廃棄処分にされるのがおちかもしれない。
もし、廃棄されるのだとしたら、この持ち主がネパールを旅行した証として、ここにずっと置かれ続けても悪くはないかな、と思い、そのまままたケースの中に戻しておいた。多分いつの日か、処分される日が来るかもしれないけれど、それがこのパスポートの運命だったのだろう。
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