おととい、この時期に聞こえてくる爆竹の音に、ティハール気分が高まる、ということを書いたが、その他にもティハール気分を高める音が聞こえてくる今日この頃。
近所の若い男の子たちが、先週あたりから毎日、ベランダでフォークギターをかき鳴らすようになっていた。
とても遠慮気味に、小さい音で鳴らすので迷惑感はまったく無く、日本の60年代のフォークソングに似ているネパリ・ポップの曲調がむしろ懐かしいぐらい。(そういう私は70年代生まれで、60年代にはまだ誕生の可能性すらありませんでしたので、あしからず。でも、60~70年代J-Popは大好きです)
なんのために?と思っていて、ああそうかと気づいた。ティハール祭に向けて練習し始めたのだ。
ティハール祭の主役、ラクシュミ女神を家々に迎え入れるための儀式が、今年は10月21日の日没と共に行われるのだが、この日から3日間、人々が夜、近所や知り合いの家々を回り、歌や踊りを披露して、おひねりをもらう、という習慣がある。
小さな女の子たちが民族衣装で着飾り、自分たちをラクシュミ女神に見立てて家々をまわり、『ラクシュミ神があなたの家にもやってきましたよ』というような内容の、ティハール祭にしか歌われない歌を歌い、それにあわせて自分たちで考えた踊りを披露しながら周る、というのが基本。(男の子バージョンの定型歌もある。訪れる家々のことをほめたたえる歌で、聞いていて思わず爆笑することも。例:この家はなんて大きいんだろう!シンハダルバールみたいに、なんて大きいんだろう!という感じで、とにかく延々ほめたたえるのだ)
子供だけが楽しむのではなく、成人した大人も楽しむ。たとえば、事前にばっちりバンド形態での練習を重ね、トラック一台借り切って、楽器類を荷台につめこみ、知人宅を襲撃(?)し、練習成果を強引に聞かせて高額なおひねりをもらう、というようなことをする若い男の子たちもいるのだ。
ベランダでギターをかき鳴らし、はもりながら練習している彼らも、きっと、ティハールに向けての準備をはじめたのだろう。
その他、街では、家々を飾る安っぽい電飾も売られ始めている。外国でのクリスマス使用向けに作られたものが多いためか、光と共にクリスマスソングが流れているものも。
こちらの人は、クリスマスソングを知らない人も多い。(だから、携帯の着信音が、なぜか年中ジングルベルであったりする人もよくいる。指摘すると、それがクリスマスソングであることをまったく知らず、たまたま気に入って使っているだけだった、ということも多い) このため、特に違和感も感じないようだが(むしろ、光と共に音楽も流れてカッコイイぐらいの価値観かもしれない)、10月のこの時期からクリスマスを思い起こさせる電飾を見かけるたびに、ああ、ティハールか、という思いと、表現しようのない情けなさを感じるこの時期なのだ。
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