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2005年10月26日水曜日

少数民族が住む村はどこ?

はじめてネパールに来て、こういう質問をする人が、ときどきいる。

「民族衣装を着た人たちは、どこで見られますか?」という質問をする人もいる。

多分、タイ北部などにいる山岳少数民族などをイメージして、質問しているのだと思うが、『ネパールにおける少数民族』について、どう回答していいのか、とても困る。

ネパールは、日本の3/4程度の面積しかない小さな国だが、その中には、たくさんの民族が住んでいる。正確な数は忘れてしまったが、その数50以上で、それぞれが、他の民族とは違う言語、習慣、伝統儀式、民族衣装を持っている。

みんな、『ネパール人』である前に『○○族』であるアイデンティティを持っている(ように見える)。

そう考えると、ネパール国内、どこに行っても違った民族に出会えるわけで、旅行者が言う『少数民族』の意味が、私にはわからないのだ。(『少数民族』の定義とは?)

例えば、カトマンズ盆地内ではどこに行っても『ネワール族』を見ることができ、盆地のはずれ、北東部の丘陵地帯では、『タマン族』が多く住む村に出会える。

ポカラ周辺には『グルン族』が多く暮らしているし、エベレスト近くの山岳地へ行けば、『シェルパ族』だらけになる。その下や、ポカラのずっと下には『マガル族』が多く、ネパールの東の端には『ライ族』『リンブー族』が多い。

南ネパールに行けば、『タルー族』や、北インドの影響を強く受けている民族もいる。

『民族』に属さない、バフン・チェットリは、どこにでもいるし、それとは逆に、絶滅しかけている民族もいる(らしい)。

旅行中に接するネパール人は、一見みんな同じネパール人ではあるが、実は、習慣や言葉、冠婚葬祭に着る民族衣装など、異なった文化を持つ違った民族である可能性は高い。(まあ、民族間でそれほど大きく違わない場合もあるが)

ちなみに、ヒマラヤン・アクティビティーズのオフィスには、カトマンズ近郊に住む『バフン』、カトマンズの中心部で生まれ育った『ネワール族』、エベレスト方面から来た『シェルパ族』『マガル族』、カトマンズ盆地北東から来た『タマン族』などがいる。

以前は、ネパール東部出身の『リンブー族』などもいた。

それぞれの村の話や習慣を聞くと、民族色がよく出ていておもしろいのだが、ひとくくりにすれば、みんな『ネパール人』なわけなので、はじめて彼らと接しても、民族ごとの違いはよくわからないだろう。

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さて、特定の民族が住む村へ行けば、民族衣装をバッチリ着こなして生活している人たちの姿を見られるのか、というと、そうでもない。だからといって、日本人のように普段はみんな洋服を着て過ごしているわけでもない。

お年寄りは、それぞれの民族の衣装を少し着崩して、普段着にしている人も多い。民族ごとの衣装の違いが何となくわかる者にとっては、○○族の村だから、何となくそれっぽい着こなしだなあ、と、気づくし、おもしろいが、はじめて訪れる旅行者が見ても、多分、全部同じように見えてしまうのがオチだ。

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『民族衣装を着た少数民族』は、カトマンズ近くではどこで見られるのか?と質問する人に対して、しかたないので、私はこう答えている。

とりあえず、ボウダナート付近に行けば、『シェルパ』の民族衣装を着た『シェルパ族』を見ることができますよ、と。シェルパ族の衣装は、一目でわかるので、視覚的に満足できるだろう。

それから、パタンやバクタプルへ行くと、『ネワール族』の民族衣装を着ている人たちもたくさん見られますよ、と告げるが、果たして、見分けがつけられるか。

ネワール族の民族衣装は、黒地の裾に赤いラインの入った綿の布(サリー)を身にまとい、白い腹巻のような布をぐるぐるお腹に巻きつける感じ。ネワール族の多い、パタンやバクタプルに行くと、そういう民族衣装を着崩して普段着にしているお年寄りが多く見られる。しかし、『バッチリ民族衣装を着こなしている』わけではないし、『民族衣装を着ていること』を観光のウリ文句にしているわけでもないので、はじめてネパールにきて、民族衣装を探す旅行者には、多分全く見分けはつかないだろう。

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