2005年10月10日月曜日
ヤギの運命
生け贄は残酷で、この時期のヤギの鳴き声を聞くと悲しくなる、といいながらも、祭気分に乗せられて、スタッフ用に、ヤギを一頭確保した。
食用になるのはすべてオスだが、去勢をしているオス(ネパール語でカシ)と、去勢をしていないオス(ネパール語でボコ)の、2通りのヤギがこの時期市場で売られる。
私達は、去勢していないヤギ、『ボコ』を一頭購入することに。ボコは、生きている間はクサイのが難点なのだが、調理後はカシよりも、おいしい!
だから、ボコを選んだ、という単純な理由のほかに、宗教的な意味も、実はあった。
ダサインは、ドゥルガ(女神)に関連する祭りで、生け贄は、ドゥルガにささげるために行うわけだが、生け贄用には、真っ黒な『ボコ』が良いとされている。
ということで、おいしいし、生け贄用にも適している、黒いボコを探しに、市場へスタッフを向かわせる。
スタッフは、バイク(二人乗り)で、市場まで買いに行った(買ったボコを、後部座席に乗っている者が抱えて運ぶため。結局大きすぎて、タクシーに乗せて運ぶことになったのだが)。
携帯電話を通じて、オフィスに残っているスタッフと、市場へ行ったスタッフとで、やり取りしながら、選別。
丸々太っていて、まだら模様のおいしそうなボコ発見、とのことで、連れてこられたのが、写真のこれ。
翌日は朝から解体作業に入る、とのことで、私も夜、ボコを見に行く。明日はみんなの胃の中に入ってしまう、彼。メエメエないていて、何となく情が移ってしまう。なんだかんだ言いながら、結局食べる私なのだが。
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村では、『生け贄用や、食用に連れてこられるヤギは、一日前に、自分が明日絞められる、ということを、知るから、メエメエ鳴き続けるのだ』と、言う。
明日の運命を知るヤギ。そんなこと聞くと、余計に情が移ってしまう。まあ結局は、知らない場所に連れて行かれて、不安な日々を過ごすことになるから、メエメエ鳴くのだろうけれど。
まさに、ドナドナの歌そのものの世界が、広がるのである。
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