南九州の田舎で聞く、おじいさんおばあさんたちの会話。7割ほどしか聞き取れない。方言が強いせいだ。でも、小さい頃から訪れている私は、この田舎で暮らした経験はないが、年寄りしか使わないような言葉も、なぜか知っている。だから、すべてを理解できなくても、前後の脈絡から、会話の意味はだいたいわかる。
東京出身の父が始めて母の実家を訪れたときは、お年寄りの会話は全く聞き取れなかったそうだ。
さて、親戚のおばあさんの家を訪問して、世間話をする。
神経を集中させながら、おばあさんが話す内容を聞き取ろうと努力する。外国語を聞いているみたいだ。内容を理解できてもできなくても、途中で、相槌を「えー、えー」と打ってみる。
ここの人たちは、相槌を「えー、えー」と打つ。この相槌は、日本全国どこにでもあるかもしれないが、なんとなく、音が違う。「えー」ひとつひとつに深みがある感じ。ちなみに、同じ「えー」の音で相槌を打つのは、ネパールでも同じ。
だから、田舎の風景や、外国語を聞いているような気分も手伝って、ネパールにいるような気分になってきてしまう。
「えー、本当?」「えー、そうなの?」と言いたかったのに、思わずネパール語で、同じ意味の「えー、ほー?」「えー、ほらー?」と言ってしまって、あ、ちがった、と気づく。でも、耳の遠い親戚のおばあさんは、気づいていない。
この地方には、「どうしよう?」という意味の「どげんすかい?」という言い方がある。訳は先述の通り「どうしよう?」なのだが、やや言い訳じみたニュアンスが漂う「どげんすかい?」は、「どうしよう?」と、さらっと標準語で訳すより、ネパール語の「ケーガルネ?」という言い方であらわしたほうが、より近い意味が通じるような気がする。
アクセントのつけ方も、ネパール語とここの言葉は似ている点があるので、おかしい。
似ている単語があることにも気づいた。蛙という単語、ビャグト(ネパール語)と、ビッキョ(祖母が住む地方の方言)。ルーツは同じなのかもしれない。
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