2013年11月17日日曜日
満月の日の長かった一日
今日は落ち着かない1日だった。
朝、カラパタールを目指しているガイドの親族より、ガイドの母に予期せぬ不幸があったという連絡が入る。
長男であるガイドを至急カトマンズに戻すことはできないかと。
そうはいってもまだ先の長いトレッキング。ゲストを置いてガイドのみ緊急下山させるわけにもいかない。
同エリアを歩いている私たちのガイドの中で、あとは下山を残すのみとなっているグループのガイドを代わりに充てることはできないかと数組と連絡を取るも、調整できず。
カトマンズから新たにガイドを送るとなると、仮に明日のルクラ行チケットが取れたとしても、現地到着までガイドの足で1日はかかる。その間、ゲストのトレッキングが停滞してしまう。
また、ガイド交代を終え、下山を始めていたら、長男ガイドのカトマンズ帰着前に、亡くなったガイドの母は、荼毘にふされてしまう。ネパールでは、葬式はすぐに執り行われることが多い。
現地の長男ガイドからも涙声で電話が入る。仕事を放棄するわけにはいかないが、長男の役目を果たさないわけにもいかない。どうか葬式までにカトマンズに戻りたい、と。
こうなったら仕方ない。ゲストのトレッキングを何事もなく続け、長男ガイドを今日中にカトマンズに戻すためには、高い出費だが、背に腹は代えられない。ヘリコプターで代行ガイドをカトマンズより現地に直行させ、同じ便で長男ガイドをカトマンズに戻すしか方法はない。
現地に向かうヘリがあれば便乗させてもらう予定だったがタイミングよく見つからず、完全赤字覚悟でチャーターヘリを手配する。
そして昼過ぎ、現地に向けて出発。冒頭の写真は、カトマンズ空港を離陸する際に、現地に向かったスタッフが撮ったもの。
過去、ヘリで現地に向かった際、目的地到着途中で天候が崩れ、目的地まで飛べず、ルクラで天候回復を待たなくてはいけなくなった経験が何度かある。
今回もそんなことになったら、と心配したが、本日も見事なほどに快晴。ヘリは順調に目的地に向かい、ガイド交代を終えて、同日中にカトマンズに戻ってくることができた。
2番目の写真は、ヘリがエベレスト街道の現地着陸直前に撮影したもの。標高4200mほどの場所だが、雪は全く見られない。エベレスト街道を歩くトレッカーからのよくある質問に「アイゼンは不要か?」というものがあるが、ご覧のとおり、今の時期、峠越えを含むトレッキングをしない限りは、アイゼンを使うことは99%ない。
そして夜。
自宅の庭に、シェルパ族の正装をした男女が大勢やってきて、祝い歌を歌いだす。
ティハールのバイリやデウシみたいだが、今の時期になんだろうと思ったら、今日は満月。
シェルパの地タンボチェではマニリンドゥ祭が始まったが、ナムチェのシェルパ族たちにとっても、マニリンドゥとは別の特別な祭りがあるとのことで、ナムチェのシェルパが大家のこの家に、同郷のカトマンズ在住シェルパたちがやってきて、歌と踊りを披露していたのだった。
男女15人ぐらいずつ、輪になったり一列になったりして、歌を歌いシェルパ独特のステップを踏む。
満月に照らされる、幻想的な光景を見ながら、長い一日が終わった。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
久しぶりに投稿します。
返信削除でも一言だけ。
春日山さん、経営者の鏡だね。
会社は「人」あっての会社だからね。
俺流に言わしてもらえば「カッコイイ」ぜ。
久しぶりのコメントをありがとうございます。
返信削除ガイドなしでは成り立たないですからね(笑)。
良いガイドたちに恵まれ、ここまで来ることができました。