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2010年5月17日月曜日

お祓い

1ヶ月ほど前、うちに家事手伝いに来ている子(といっても既婚女性だが)が、「母病気」の知らせを受け、カトマンズ盆地の外にある村にあわてて帰っていったことがある。

10日ほど村に滞在し、母親の容態が回復したためカトマンズに戻ってきた。彼女の話によると、彼女が村に帰り着いた時、母親の意識はもうろうとしており、食事も食べられない状況で、関節が固くなっていて横になることもできず、1人で動くこともできず、壁に寄りかかり何日も膝を抱えたような状態で座ったままでいるしかなかったのだという。

私が、なんの病気だったのかと聞くと、病院には連れて行っていないからわからない、とのこと。

彼女の村には病院はないが、朝村を出発するバスに乗り、その後何度か乗り継げば、その日のうちには病院へたどり着くことができるのだと以前聞いたことがあった。(病院へ行くまでに何日も山道を歩かなくてはいけないような村もあるので、そういうところに比べれば、彼女の村は比較的恵まれているといえるかもしれない)

このため、当然病院へ連れて行ったのだろう、と思い訊ねたのだが、彼女いわく、母親が病気になったのは、「他人に呪いをかけられたため」なので、病院へ行く意味がなかったのだ、とのこと。

彼女だけでなく、彼女の父親はじめとする家族・親戚ともに、母親の病気は「呪い」が原因であると信じていたようで、彼女が帰省していた間に、大枚はたいて何日もお払いの儀式を執り行ったのだそうだ。その結果、母親の容態も回復したのだという。

お祓いの儀式に鶏を3羽生贄にしたそうなのだが、それを聞いた、カトマンズ出身中流階級のネパール人が少々冷やかに一言「お母さん、肉が不足してたんだね」。(生贄後、鶏は食用肉となり人々の胃の中に入る)。

そして先週末、この出来事から1ヶ月も経っていないのに、今度は「母危篤」の連絡が入り、再びあわてて村へ帰って行った。今回は、前回よりも大規模なお祓いをすべく、だんなまで引き連れて。

しかし、だんなが住み込みで働く、カトマンズの上流階級ネパール人主人に「お祓いはいいから、まず病院へ連れて行け!」とこっぴどく叱られ、治療費を強引に渡されたとのこと。(お祓いするしないは自由だが、そう頻繁に長期休暇を取られても、雇主としても困るのだ)。

そして、村到着翌日に、病院がある最寄りの村まで運んだそうだ。

病院から私宛にも連絡があったのだが、一通り検査をし、点滴をし、容態は落ち着いているとのこと。検査後、医師からの説明を受けた中で、母親が「極度な貧血状態にあった」ということは、彼女でもわかったらしい。

・・・

話はそれるが、カトマンズ市内にも、あちこちに「お祓い師(祈祷師)」のような人が存在し、病院に行くほどでもないが、体調がなんとなくすぐれないときに、お祓いをしてもらいに行く、という現地人もたくさんいる。

私自身も、そういう時、お祓いをしてもらいに行くことがある。お祓い後、不思議と気分がすぐれてくるのは、お祓い効果なのか、気持ちの持ちようか、単なる気分が晴れるタイミングなのかはわからないが。

医師のいない村では、今でも、病人がでるとまずはお祓い師に頼ることも多い。というか、頼らざるをえない、というのが実情かもしれない。お祓いで病状がよくなることもあれば、効果がないこともある。

話を戻すが、彼女の母親の病因は、はたして「他人からの呪い」によるものだったのかどうなのか。

今回の状況では、病名の付いている何らかの病気が原因だったのではないか、という気もするが、ネパールには、科学では証明できないようなことが多く存在するというのも、事実だ。

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