こちらの人たちは、かぎばあさん並みに、いつも大量のカギをジャラジャラ持ち歩く。
私の家(一軒家の1階部分を借りている)にも、玄関、勝手口、部屋の鍵を合わせると、全部で8つある。すべて似たような鍵だから、番号をふっておかないと、どれがどの鍵が分からず、一つ一つ差し込んでかかるかどうか試さなければならない。
きちんとすべて戸締りをするとなると、それだけで一仕事。だから通常は、玄関の鍵しか持ち歩かず、他のは束にして、大事に室内に保管してある。
鍵は鍵でも、いろいろなタイプのものがある。上記の通り、ドアに鍵穴がついていて鍵(saa(n)cho)を差し込んで使うもの(写真1番目。ノブの下に鍵穴がある)、スライド式(chukul/cheskin)のもの(写真2番目)、閂状(gajabaar)のもの、備え付けの鍵がないので別途南京錠(taalchaa)が必要となる場合、などなど。(カッコ内は該当ネパール語)
さきほど、私の家にはすべて合わせて8つの鍵があると書いたが、これは鍵穴に鍵を差し込むスタイルの鍵の数。スライド式の鍵にいたっては、数えてみたら何と、134個(!)あることが判明。
鍵の種類はどうであれ、ドア1つに何個も鍵がついている場合も多いから、ワンフラットに8+134=142個もの鍵が存在する結果となる。
たとえば、私の家の玄関。計5ヶ所に鍵がついている。
また、一般的な家庭の窓(下の写真)。上下2ヶ所にスライド式(以下チュクルと表記)の鍵がついている。たいてい、内側に網戸用の窓、その外側に鉄格子、更にその外側にガラス窓、という構造になっているから、窓を開け閉めするときは本当に大変。
窓を開け、網戸だけにする作業を言葉で説明してみよう。どういうことになるかというと、網戸用の窓の上のチュクルを開け、下のチュクルを開けたあと、鉄格子の隙間から腕を外側に出し、ガラス窓の上のチュクルを開け、下のチュクルを開け、ガラス窓を外側に開いて、手を鉄格子の隙間から内側に引っ込め、また、さっき開けたばかりの網戸用の窓の上のチュクルを閉め、下のチュクルを閉め、ようやく窓が網戸状態になるというわけ・・・
・・・実際に開けた経験のない場合は、何を言っているのか意味不明だと思うが、ひとたび窓を開けて網戸にしようと思うと、のべ6ヶ所の鍵をいじらなくてはいけないということで、とにかく面倒なのだ。ちなみにこの(窓を開けて網戸だけにする)作業、日本で一般的に使われているアルミサッシの窓だったら、1ヶ所の鍵を開けて、ガラス窓をさっとスライドさせて終わり。
鍵にまつわる話はまだまだある。冷蔵庫や電話にも、なぜかフツーについている、鍵。
これって、南アジア特注製品?ずっと意識することなく使ってきたが、よく考えると日本では見かけたことがなかったし、在米10年以上経つ妹が先日こちらに来たときも、初めて見たと笑っていた。日本アメリカではなじみのない冷蔵庫や電話の鍵だが、ネパールをはじめとする諸外国では一般的なのか?
そういえば、冒頭に出した『かぎばあさん』は、子供用物語の主人公。小学校の頃、大好きでよく読んだものだ。いつも大量の鍵を持ち歩いていて、鍵を忘れたり失くしたりして家に入れない鍵っ子たちの前に現れ、助けてくれる、というストーリー。
このかぎばあさん、なぜ、いつも、どんな鍵でも簡単に開けてしまえるようになっかというと。食いしん坊のかぎばあさんが子供の頃、いつも冷蔵庫を開けては何かを食べていて、ついにチフスになってしまったのだ。そこで、親が冷蔵庫にも鍵をかけるようになってしまったのだが、それ以降、かぎばあさんは鍵について興味を持ち出し、どんな鍵でも開けてしまえるようになった、といういきさつが、確かある。
今ふと思い出してみたこのシーン、なんだかネパールに共通する部分が出てくる。チフス、冷蔵庫の鍵、などなど。ネパールで見かける冷蔵庫の鍵、人々がジャラジャラ持ち歩く大量の鍵、かぎばあさんと何か関連があったり、、、するはずないか。
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