家庭ごみを捨てられなくて困っている、という話を中流階級のネパール人にすると、「使用人に捨てさせればいいじゃない」という答えが必ず返ってくる。
「うちには使用人がいないから」、と答えると、「あら、使用人もいないの?」という表情をする人が多い。
その表情は、『このジャパニ、いつも威張っているくせに、けっこうビンボーだったのね』、と、読み取れる。
そんなに忙しい毎日を送っているわけじゃないし、『自分のステイタス』のために使用人を雇う感覚が、私はいまだに理解できない。
本当に忙しくて、使用人を雇わなくては生活できなかったり、雇用促進のことを考えて、使用人を雇っている人もいるが、見たところ、たいして忙しいわけでもないのに、子守を使用人に任せっぱなしのネパール人女性(たいていぶよぶよ太っている)などに、『使用人もいないの?』と言われると、腹が立つ。
自分の身の回りのことぐらい、自分でして何が悪い。
今年米寿を迎えた、1人暮らしの私の祖母は、自分のことは何でも自分でやりますよ。
それはいいとして、なぜ『ゴミを捨てられない』のか。
ゴミ回収の時間がまちまちだからだ。
以前は、日の出と共に(早い時には日の出前に)回収に来ていた。冬の時期には、まだ真っ暗な5時半頃が回収時間で、私はいつも布団の中だった。
夢の中で、『ピーッ』というごみ収集合図の笛の音を遠くに聞いて、ハッと気がつく頃には、ゴミ収集車(リヤカー)は、既に移動してしまった後だった。
今年の2月1日(国王政権掌握後)以降、ゴミ回収システムが少し変わった。
早朝ではなく、夜遅く(といっても21時頃だが))、回収に来ることになったのだ。少し遅すぎる気もするが、この時間にはたいてい家にいるので、喜んでいた。
が、また最近回収時間が変わった。どうやら、午後になったらしい。それも、15時~17時の範囲で、その日によって違うようだ。
この時間帯、私はたいてい外出している。たまに、家にいるときがあるけれど、そういう時に限って、回収に来なかったりする。
そんなわけで、ゴミを捨てられなくて困っている。
まあ、生ゴミは庭に埋めているので、乾燥ゴミしかないから、たまってしまうゴミの量は少ないのだが、それでも、ずっと捨てられないと気が滅入る。
===余談===
使用人がらみの話。
イラク戦争が勃発した2年とちょっと前、在米約10年の妹が、こう言ってきた。
「ブッシュにはうんざりしている。アメリカを離れて、他の国で暮らそうかしら」
じゃあ、ネパールで一緒に暮らさない?というと、少し乗り気になってきた。
妹の気を引くために、私は、ネパールに住む日本人が、ネパール暮らしでいいと思っていること、の例を挙げてみた。
安い家賃で豪邸に住めること、安い雇用費で何人もの使用人を雇って、カネモチ気分を味わえること、等。
すると、私の期待とは裏腹に、気のない返事が返ってきた。
私、そんな大きい家、興味なーい。なんで使用人が必要なわけ?自分のことぐらい、自分でできるし。シンプルに暮らせばいいじゃん。
妹の興味を引く作戦は失敗だった。と同時に、シンプルな暮らしが好きだった自分が、ネパールにかぶれてしまった他人の価値観を持ち出して、得意げに語っていたことを恥じた。
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