ネパール人たちが、テレビコマーシャルについて雑談していた。
あるインスタントラーメンの新しいコマーシャルで使われている音楽について。
以前は愉快な旋律だったのに、新しいCMで使われているそれは、ネパール人たち曰く、非常にけだるい感じ、なのだという。インスタントラーメンのCMなのに、なぜ食欲をそそる陽気な音楽を選ばなかったのだろう、特に、CMの最後に、音楽に合わせて商品名を告げるところでけだるさはピークに達し、聞いているだけでやる気がなくなってくる、そうなのだ。でも、そのけだるさが、なんともいえずにおかしくもある、という点で、全員一致で盛り上がっている。
その晩、ネパールのニュース番組の途中で、話題になっていたCMが流れてきて、ああこのことだったのか、と意識を傾けた。
そのCMには、かの有名なアメリカ映画『The Sound of Music』の中の名曲『My Favorite Song』(以前、日本でも『そうだ、京都へ行こう』というJRのCMで使われていたことのある、あの曲)が使われていて、インスタントラーメンを紹介する歌詞が当てられ、替え歌となっている。
そして最後に、そのインスタントラーメンのキャッチフレーズ(サッポ◎一番における『♪さっぽ◎い・ち・ばん、みそらーあめん』のような部分)が流れるのだが、確かにその部分が、寂しい短調の旋律となるのだ。
意表をついた短調展開が新鮮で、耳に残る。そして、ネパール人たちが盛り上がっていた通り、確かに、けだるい。決定的瞬間に、思わず吹き出してしまった。
情操教育(音楽含む)など受けたことのないネパール人たちでも、長調の曲を明るく感じ、短調の曲には寂しさやけだるさを感じるということ。当たり前のことなのだが、人間の持つ感覚の共通性に、感心してしまう。
ちなみに、後で確認したところ、CMで使われている曲がサウンドオブミュージックの中の名曲であることは、誰一人として知らなかった。ヒンディー映画が主流なこの国では仕方がないか。
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