ネパールの長距離陸路移動は、『道路封鎖』により、順調に行かないことが多い。
少し前までは、政治的な理由による『道路封鎖』が多かったのだが、最近は政治的な理由以外での道路封鎖が多発しており、不便な状況に巻き込まれることが多くなっている。
『ひき逃げ事故被害者家族による道路の封鎖』が、それはもう頻繁に、あちこちで実施されまくっているのだ。
ネパールの法律では、ひき逃げ事故に対する補償制度が整っていないらしい。
ひき逃げ事故で、被害者に下手に傷害を負わせてしまうと、加害者は、被害者に対し、長い間治療費を払い続けなくてはならない。これは、加害者にとって大きな負担となる。
しかし、いっそのこと被害者が死んでしまえば、加害者は短い間牢屋に入って、小額の補償金を支払めばすむらしく、負担は少なくてすむらしい。
よって、ひき逃げ事故では、被害者が死んでいなければ、一度走り去った加害者がわざわざ引き殺しに戻ってくる、というケースも、よくあるとのことだ。
こうなると、困るのは被害者一家で、身内の殺され損でしかなくなる。なんの補償も受けられない。以前は、泣き寝入りする被害者家族も多かったようだが、最近では、被害者家族や親戚知人が結束し、加害者に対して、多額の補償を要求するための抗議行動を起こすのが一般的となっているようだ。
しかし、この抗議方法に問題がある。
被害者と加害者の間で交渉がうまくまとまるまで、事故現場周辺の一般道をすべて封鎖し続けることによって抗議をするのが主流で、事故にはまったく関係のない一般車両までもが、長時間の立ち往生を余儀なくされる状態になるのだ。
交渉がすぐにまとまれば、短時間だけの封鎖で終わるが、交渉が長引く場合は、日中ずっと道路封鎖が実施されることもある。
・・・このような、痴話げんかの延長のような理由での道路封鎖が、最近、ネパール各地で、3日に1度は実施されているのではないかというぐらい、頻繁に、堂々と起きている。
旅行者の利用が多いカトマンズ~ポカラ間、カトマンズ~チトワン間、ポカラ~チトワン間の陸路でも、頻繁に実施されているような印象を受ける。ちなみに本日も、チトワン~ポカラ間の一部で、まさに上記による理由での道路封鎖が起きていた模様。
ネパールの長距離道路は、たいてい1本道だ。迂回路はない。日本のように、高速道路が封鎖されたら下の一般道を迂回する、という選択肢はない。
よって、狭い地区だけの封鎖であっても、どこか一箇所が封鎖されると、先には進めず、引き返したところでどうにもならず、にっちもさっちも行かなくなってしまう、ということになる。
以前、政治的理由で道路封鎖が起きたり、車両通行が出来なくなっていたときは、あらかじめ予告されていたことも多かったから、多少回避のしようもあった。
しかし、ひき逃げ死亡事故関連の道路封鎖の場合、いつ、どこで事故が起きるかなどわかるはずもない。遭遇してしまった場合は、封鎖解除となるまで、とにかく待つしか方法はない、という最悪な状況になっている。
空路の定期便が飛んでいる区間については、あらかじめ国内線を利用すればすむことだが、本日影響を受けた、チトワン~ポカラ間には空路の定期便はなく、一般的には陸路移動をするしか方法はないため、道路封鎖に巻き込まれる可能性は回避できないということになる。
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