毎朝、カトマンズ郊外に住む農家のおばさんが、搾りたての牛乳を届けてくれる。
加工どころか煮沸さえされていないので、受け取ったらすぐ煮沸し、冷めたら冷蔵保存する。脂分が多く、表面に厚い膜ができる。
では、牛乳自体も濃厚かというとそうでもなく、牛の体調や飼料によって味や濃さが変わる。
たいてい、「搾りたての牛乳=濃厚」と連想される方が多いと思うが、案外そうでもないのだ。
2015年4月の地震後は、あまりお乳を出してくれなくなった、ということもあった。また、子牛が生まれたばかりの時には、子牛がお乳をたくさん飲みすぎ、ヒトに販売する分がなくなってしまった、という、微笑ましい出来事もあった。
牛の都合で乳が十分に出ないときも、生き物だものそんな日もあるさ、と、共感してしまう。
ところで、最近のお乳はやや「えぐみ」を感じるので、聞いてみた。すると、農家のおばさん曰く「トウモロコシの葉や茎を餌として与えているからね。でもあと一ヶ月もしたらまた元に戻るよ」と。
今がシーズンであるトウモロコシ、実は人がたべ、葉や茎は牛の飼料にしているのだそう。
日々微妙に変わる味や濃さを楽しみ、自然との共生に感謝しながら、毎日おいしくいただいている。