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ランタン方面トレッキング報告2 のつづき ~
[6月20日(火)晴れ] トレッキング2日目
06:30 ゴラタベラ(約3000m)発
12:15 キャンジン・ゴンパ(約3800m)着
14:30 キャンジン・ゴンパ~ランシサ方面へ行く道の途中まで散策
18:00 キャンジン・ゴンパ着
昨晩就寝時には月明かりもなく漆黒の闇に包まれていたのに、夜中、薄明かりに目が覚めた。もう日の出かと思い時計を見ると、まだ深夜1時。窓の外を見ると、山に隠れていた三日月が、山の上に見え始めたところだったようで、薄明かりは月明かりだった。
早朝5時起床。朝の透き通った青い空気が気持ちいい。
昨日に比べるとかなり身体は軽くなり、ペースもつかめてきたので、荷物は自分で持つ。東に向かって歩くため、低い角度で降り注ぐ強い日差しがまぶしくてしょうがない。太陽が高く上るまでずっと、こんな状態が続く。
地べたには赤い小さな粒の野いちごが、頭上には黄色い木いちごが実っている。そのほかネパール語でグヘリ(Ghuyali)と呼ばれるブドウのような小粒の果実(日本語ではなんというのだろう?ちなみに、カトマンズ在住のネパール人はグヘリという単語さえ知らなかった)も木に実っていて、摘みながら食べる。甘酸っぱくて美味しい。
ランタンにて。ダイニングが2階にあるロッジにて昼食。降りるのが面倒で、ロッジの窓から見えたヒマラヤを撮影。
ランタンを過ぎたあたりから景色は開け、野に咲く花も増え、気持ちいい。
村で育ったネパール人は、植物にくわしい。ガイドのサンカルに、知っている植物があったら、全部私に教えてね、と伝えていたところ、次から次へといろいろなことを教えてくれる。
この植物の茎からはミルク(白い液のこと。食用ではありません)がでるんだ、とか、
この葉っぱはタルカリ(野菜炒めのようなおかず)にして食べられるよ、とか、
この花の葉っぱを揉んで出てきた汁を蛭の口につけると蛭は死ぬんだ、とか、
この枝を乾燥させて火をつけるとお香の代わりになるよ、とか、
岩に生えた白ごけを手で揉んでパウダー状にして傷口につけると血を止められるんだ、とか、私も記憶するのに必死。この他の植物についても、薬用・食用などいろいろ教えてくれたのだが、記憶できず。
病院も薬局も無い村出身の人たちは、薬用野草を使って病気や怪我を治すしか方法が無いから、誰に教えられることなくても、自然に知恵を身につけていく。
そういえば、すっかり忘れていたことだったのだが、医療系の総合大学に通っていた私、薬学選考ではなかったのだが、卒研のために大学附属の薬草園に一時所属していたことがある。そこの講師の1人がネパール方面の薬草を研究されていて、薬草園内研究室には『Langtang』というラベルがつけられ、中に土が入ったフラスコやらビーカーやらがうじゃうじゃあったことを思い出した。また、その講師と一緒にネパールに同行し記録用写真を撮影するカメラマン氏の自宅で、ランタン方面で撮ったという大量の写真を見せてもらった事も思い出した。ちょうど10年前のことだ。
そんなことを思い出しながら歩く。キャンジンが近くなるにつれて岩場が多くなり、けっこう疲れてきた。それに、人っ子一人見かけなくて退屈。ランタンからキャンジンの間にいくつかロッジはあるのだが、この時期どこも無人になっており、トレッカーも地元民もほとんどおらず、本当に誰にも会わないのだ。疲れと退屈を感じ始めた頃に、タイミングよくキャンジンゴンパ着。自家製ダヒ(ヨーグルト)をご馳走になる。
昼食休憩後、ランシサ方面の途中まで行ってみることにする。途中、現在は使われていない空港がある。第二次世界大戦中に他国によって作られたそうだ。空港といわれなければ気づかないただの野原なのだが、だいぶ古びた有刺鉄線などが放置されており、少し高いところからみると、滑走路の目印として石が積まれているのがわかる。
この辺には、ヤクや馬が放牧されていて草を食んでいる。前方にはガンチェンポ(6387m)を初めとする白いヒマラヤも見えていたのだが、夕方になるにつれ雲がたれこめ全てを隠してしまった。
帰り際、ロッジの裏側にあるチーズ工場見学。
夕方、キャンジンゴンパにあるロッジに戻った頃から、大雨が降り始める。このとき、カトマンズでも同じく大雨だったとのこと。かなり強い雨で明日の天候が多少気になったが、夕方から夜間にかけて土砂降りになると、たいてい翌朝はすがすがしい朝になることが多いから、それほど心配することなく就寝。
キャンジンゴンパでの日中外温約15度、日没後外温約10度。日中歩いている間は、半そでで十分だが少し立ち止まると一気に冷える。日没後は、Tシャツにトレーニングウェア1枚羽織っているだけだと少々寒い。
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ランタン方面トレッキング報告4-1 につづく~